印刷技術


前回の記事でなにげなく触れましたが、今回の話題は印刷技術およびそこから派生して生じる問題についてです。

さすがにDTPなどはないのですが、それでも印刷技術は存在しており、それに関連する技術や産業(製紙、印刷、製本など)もまた存在しています。

 

大量印刷が可能であるということは、同一内容の情報を多数の人間に伝えることが可能になるということです。加えて、現代のコンピューターやテレビ・ラジオのような、印刷物に優る/代替する手段が確立されていないことから独占的な価値を持っているのです。

印刷技術自体は数百年前から存在していましたが、積極的に活用されるようになったのはここ半世紀ほどのことです。理由としては二点あげられます。まず第一に、それ以前は識字率がさほど高くなかったこと、第二に大都市化が進んだことにより印刷物の運搬のコストが低下したことです。また人口の集約によってある話題に対し関心を示す人間の数も増え、結果的に量産のメリットが大きくなったことも挙げられるでしょう。

印刷技術・印刷物はおもに大学で資料やテキストとして使用されるほか、街では簡単な読み物や新聞などが流通しています。ほとんどは平綴じの薄いものですが、ハードカバーの立派な装丁の本もいくらかは存在しています。

 

・個人での印刷

個人でも原稿と印刷費を用意できれば印刷所で印刷してもらうことができます。印刷費は安いとはいえませんが、平均的な収入の市民でもなんとか捻出可能な程度です。

とはいえ実際に印刷を行うのはごく一握りの人間に限られます。大量に印刷したとして、それを配布するアテがなければ無駄なことだからです。

 

・マスコミ

印刷技術はマスコミを生み出しました。大量印刷の技術を用いた新聞が産み出され、多くの人間が新聞を介して街のニュースを得ているのです。新聞といっても現代日本のそれとはいろいろな点で違います。刊行ペースは週刊が多く、基本的に個別配送ではなく、取り扱い店舗にて販売されています。大きな食堂や雑貨店などで購入することができます。

新聞社は記者を雇っていますが、記者の活動は探偵やスパイめいたもので、あちこちをかぎまわっては目についた事件について誇張気味に記事にします。なかにはほとんどデタラメな記事しか書かない記者もいる一方、まじめに取材に務める記者もいます。しかし取材に熱心な記者ほど不審がられる傾向にあります。また記事というよりも広告となっているケースもよくありますが、これは特に問題視されていません。

読者が新聞をどの程度信用しているのかは難しい問題です。ほとんどの読者にとってはほかにこれという情報源がありませんので、そういう読者は新聞を漠然と信用しています。他に情報源を持つ人間や、あるいは新聞にデタラメが書かれていることに気づいてしまった人間(たとえば自分が記事に取り上げられた場合など)は新聞をまったくといっていいほど信用しなくなります。

完全に信用できるわけでもないが、すべてが嘘というわけでもないというのが実際のところでしょう。

 

市議会はマスコミをほとんど放置しています。市は「新聞は政治に影響を与えるだけの力を持っていない」としているためです。しかし議員の全員がそう考えているわけではなく、個人的に新聞社とつながりを持つ議員は少なからずいます。

 

・魔術書

さて書物のなかでも特異な地位を占めるものとして、魔術書の存在が挙げられます。

魔術書はあまり大量印刷されるような種類のものではありません。本当に重要なものは今でも筆写されているのですが、例外ということはあります。

まず、大衆向けの読み物として印刷される、あまり実用的ではない魔術書があります。これらはおまじないのようなものであったり、あるいは専門技術のさわりをおおまかに紹介したもので、本職の魔術師が読むようなものではありません。ただし子供がこうした本に触発されて魔術師を志すといったことはありえます。

次に魔術結社やそれに対抗する組織で、テキストとして印刷されるケースです。これは実用性のあるものだったり、専門的な知識が記されています。これらのテキストの大部分は、本そのものに特筆すべき魔力はなく、あくまで書かれている知識に意味があります。

最後に、実験的に作られた「魔力をもった大量印刷された魔術書」というものがあります。紙やインクの素材に特別なものを使うことで、一般的な書物ではまずありえない魔力を込めることができるのです。最初に成功した量産型魔術書では、真珠をすり潰して紙に混ぜ、巨人の血をインクに使ったと言います。

しかしこうした書物は素材だけでたいへんなコストがかかり、量産によるメリットが生じるほどの数を作ることは難しいため、実用化されているとは言いがたい状況です。

(保住実)

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