設定と行動について


今回は「キャラクターの行動を決定するにあたって、世界設定やキャラクター設定とどうすり合わせを行うか」といった話題です。

(参照: 行動の没/採用、あるいは成功/失敗について

 

●目標のみが提示された段階

まずは「何をしたらいいのか」だけを提示してみます。

 

「隊商がゴブリンの群れに襲われ、何人かの商人は無事に逃げ出したが、残りの商人はゴブリンに囚われたようだ。ゴブリンの巣穴にいって商人を助けて欲しい」

 

この場合、ゴブリンを倒して商人を救出するのが目的であり、

・ゴブリンを倒す

・商人を救出する

の2つの条件がクリアできれば成功、そうでなければ失敗ということになります。

おそらく「得意な戦法を利用してゴブリンと戦う」というのが最適な行動ということになるでしょう。

 

この規定ラインを超えていくには何らかの理由がないと不自然であり、「設定」は規定ラインを超えるための理由付けとして利用可能なものなのです。

いうまでもなく、規定ラインを補強するものとしても「設定」は有効です。

 

●世界設定を付与した状態

それではまず世界設定を追加した状態にしてみましょう。

 

「隊商がゴブリンの群れに襲われ、何人かの商人は無事に逃げ出したが、残りの商人はゴブリンに囚われたようだ。ゴブリンの巣穴にいって商人を助けて欲しい。

なおこの隊商は宗教騎士団に寄進を行なっていないため、騎士団はこの商人を救出しなくてもよい

 

この場合、騎士団のキャラクターはどう行動するべきでしょうか。

いくつか例を挙げて検討してみましょう。

 

・隊商は放っておいて、もっと騎士団の足しになりそうなことをする

標準的な行動だと思われます。

少なくとも「救出しなくてもよい」と明記されていますから、助けにいかなくても減点にはなりません。

ほかに行うことの内容によって、行動の価値や成否が決まってくることになります。

 

・商人を助けに行くことで、騎士団の存在をアピールしてくる

これは前者よりも積極的な行動です。新規顧客を開拓するための営業活動とでもいえるでしょうか。商人も助けられて悪い気はしないでしょうから、成功する可能性もそれなりにあるかと思います。

うまくいけば騎士団に貢献する結果になり、またキャラクター個人にとってのプラスになるかもしれません。

この場合ゴブリンを倒すだけでなく何らかのアピールを行う必要がありますので、 行動において考慮すべき点が増えます。

完全な成功を収めるためには以下のような成果を出す必要があります。

1:ゴブリンを倒す

2:商人を生き残らせる

3:商人に何らかのアピールを行い、騎士団ないし自分に好意的な印象を持たせる

 

・騎士団に寄進しない隊商を助けるなんてとんでもない! 救出を妨害しよう!

これはさすがに騎士団に対する心象が悪くなりますので、あまりよい行動とは思えません。

しかしあなたのキャラクターが「狂信的な騎士団の下僕である」といった個人的な問題を抱える設定である場合には、また話が変わってきます。

 

一応成否について検討しますと、次のようになるでしょうか。

1:救出しようとする他のキャラクターを戦闘などで排除する

2:商人が捕らえられたままの状態を保つ

 

・ゴブリンと交渉して商人を解放してもらう

極めて困難ですが、さてこれは可能でしょうか。

まずゴブリンが交渉可能な知性と社会性を有しているかどうか、あるいは言語が通じるのかといった疑問があります。

世界設定に「社会性がある」「●●語で会話する」といった記述があるならば、可能性はあるかもしれません。逆に「交渉できない」「人間には使えない言語を使う」といった記述があるなら、この行動は間違いなく失敗することでしょう。明記がないケースではどちらともつかないので、大変リスキーな行動となります。

次に交渉そのものについてです。

ときどき、手ぶらで行って「あなたのやっていることは悪いことだから商人を解放しましょう」というような交渉をなさる方がいらっしゃるのですが、相手にとって何の利益もない条件を提示するのでは交渉とはいいかねます。

「身代金や物品を持っていって商人と交換する」「解放しないなら攻撃すると脅す(=解放すれば戦闘を避けられる)」などの交渉材料を用意したほうがよいでしょう。

世界設定にゴブリンの好物などが書かれていれば、有益な情報となるでしょう。

 

結論として、世界設定に詳細な記述があるならそれなりに有効な手段だが、そうでないならば分の悪い賭けと言えます。

 

●キャラクター設定から考えてみる

先の条件に加えて、今度はいろいろなキャラクターの設定を考え、どのようになるかを検討してみましょう。

なおキャラクターは騎士団のメンバーであるものとします。

 

・「キャラクターの両親はゴブリンに殺害されておりゴブリンを憎悪している」という設定があり、騎士団も商人も関係なくゴブリンを倒しに行く

これはキャラクターがゴブリンと戦う動機としては充分であります。

シナリオの前提や世界設定と関係なく、キャラクター本人の動機による行動ということになるでしょう。

 

・「怪物の生態を研究している」という設定があり、ゴブリンの様子を観察に行く

これは良いとも悪いとも評価しかねる行動ですが、不可能ではありません。

なぜ良いとも悪いとも言い兼ねるかと申しますと、キャラクターにとっての成功=ゴブリンの描写が増える、という形になるため、キャラクター本人の描写は増えにくく、わかりやすい活躍とはなりにくいためです。

こうした「他者の行動・描写が前提となる行動」は「自分のキャラクターの描写が少なくなる可能性が高い」ということを了解のうえで行なってください。

 

・「捕まった商人は幼馴染なんだ!」と急遽設定して助けに行く

これはよくない例です。

シナリオ参加に積極的なのはありがたいのですが、無名とはいえNPCとの人間関係を一方的に構築してはいけません。

このような場合、行動や設定の一部ないし全部が「没」の対象となってしまいます。

そこで次のような代案を出しておきます。

 

・「幼馴染が商人になったらしいが最近会っていない、ひょっとしたら……」と不安になったので助けに行く

これは許容可能なケースです。動機づけとしては成立しています。

 

・「狂信的な騎士団の下僕である」という設定なので、騎士団に寄進しない隊商を助けるなんてとんでもない! 救出を妨害しよう!

ここで先ほどのケースです。

こうした「他のキャラクターに対し敵対的な行為」は積極的に推奨はしませんが、理屈が通っていれば特に禁止もしません。

また成功するかというと、おそらく参加者の大部分は救出にきているでしょうから、妨害に成功することはあまりないと思われます。

しかし「狂信的かつ暴力的なキャラクターであることをアピールしたい」という狙いであれば、成功しやすい行動とも考えられます。

 

 

以上のように、「設定を利用する」というステップを挟むことによって、多様なアプローチが可能になり、また「成功/失敗」の意味も変わってきます。

「世界設定」「シナリオごとに提示された条件」「キャラクターの設定と能力」、これらを鑑みたうえで説得力のある目標設定とそのための手段提示を行えば、期待した成果を得やすくなることでしょう。

 

よくわからない、面倒だという場合には、まずはシナリオ毎の目的を達成すればよいかと思います。

(保住実)

 

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